できもののお悩み
できもののお悩み

「いぼ」には大きく分けて、うつる「いぼ」とうつらない「いぼ」があります。
うつる「いぼ」の代表が「尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)」で、ヒトパピローマウイルス(HPV)による感染が原因で生じます。HPVには多くの異なる型があり、型によって「いぼ」の見た目やできる場所が異なります。指や手のひら、足の裏にできることが多く、皮膚の見えないような微小な傷から侵入したウイルスが皮膚の角化細胞に感染します。なかには自然に消退する例もありますが、なかなか治らないうちに体の異なる部位やほかの人にうつしてしまうことがあります。治療の主体は液体窒素による凍結療法で、1~2週間に一度行います。
うつらない「いぼ」の代表が「脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)」で、加齢とともに生じ、人によっては20歳代からみられます。頭部や顔面、手の甲~腕、体に多く、手のひらや足の裏にはできません。「老人性色素斑」というしみから盛り上がってくることが多いです。自然に消退することは基本的になく、徐々に大きくなったり数が増えたりします。年配の方で急激に多発するものの中には、まれに内臓の悪性腫瘍に伴ってみられることがあり、レゼル・トレラ兆候と呼ばれます。必ずしも治療が必要な疾患ではありませんが、痛みやかゆみ、見た目の変化によって治療を希望される場合には、当院では液体窒素による凍結療法やサージトロンと呼ばれる電気メスでの切除(自費)を行っております。大きいものでは手術による切除と病理検査を行うことがあります。病理検査を行って区別される型のうち、「クローン型脂漏性角化症」ではまれに悪性化することがあり、注意が必要です。ご自分で無理に削ったりするのはおすすめではありません。まずは皮膚科で適切な診断と治療を受けましょう。
「みずいぼ」は、伝染性軟属腫ウイルス(MCV)の接触感染で起こります。主に幼児〜小学生の子どもに多く、家庭内や集団生活の場で感染すると考えられています。皮膚に小さくて光沢のある半球状のブツブツができ、よく見ると中央がくぼんでいるのが特徴です。通常は無症状ですが、ときにかゆみや痛みを伴い、赤く腫れることもあります。乾燥肌やアトピー性皮膚炎のあるお子さんは皮膚のバリア機能低下のため、「みずいぼ」にかかりやすい傾向があります。数か月や数年(またはそれ以上?)待てば自然に消えることが知られているため、治療方針はご家庭ごとに異なります。早期改善や感染拡大予防の観点から治療を希望される場合には、痛みに配慮したご提案をいたしますので安心してご相談ください。
粉瘤は真皮~皮下に嚢腫と呼ばれる袋状の構造があり、なかに層状の角質をみとめる良性の腫瘍で、皮膚科で大変よくみられる疾患です。手のひらや足の裏に見られるものは、外傷やヒトパピローマウイルスが関わっていると考えられています。触るとしこりのように感じますが通常は痛みがなく、炎症が起こらなければ経過観察が可能です。炎症が強くなると皮膚が破れてジュクジュクした内容物が排出され、強い悪臭を伴うこともあります。
治療は局所麻酔薬を用いた日帰り手術で、できるだけ嚢腫の壁を取り除くことです。炎症のない状態であればすぐの手術が可能ですが、炎症がある場合には期間をおいて炎症がおさまってから切除を検討します。それまでの期間は抗菌薬の飲み薬や局所切開で対処します。
炎症を繰り返していると嚢腫の壁が破綻して周囲と癒着し、完全に取り除くことが難しくなるため、早めのご相談をお勧めします。
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母斑の中で一般的に「ほくろ」と呼ばれるものは「色素性母斑(母斑細胞母斑)」で、胎生期に生じた母斑細胞が局所的に増殖した良性の疾患です。出生時から認める先天性のもの、幼児期~思春期に後天的に生じるものがあります。「色素性母斑」自体は良性ですが、悪性黒色腫(メラノーマ)との鑑別が非常に重要です。急激に大きくなる、色味にムラがある、いびつな形をしている、周囲との境界がはっきりしない、出血や潰瘍を伴う、といった場合には注意が必要です。見た目の診断では皮膚科でのダーモスコピー検査が有用で、診断が難しい場合には皮膚生検が検討されます。切除の希望があれば、保険での日帰り手術が可能です。お気軽にご相談ください。
稗粒腫は、皮膚の浅いところ(表皮直下)に嚢腫と呼ばれる袋ができるもので、角質の塊が中に入っています。多くは顔面(特に目の周り)に白色~黄色の小さなブツブツが生じ、ある種美容的な観点からご相談される方が多い疾患です。自然に排出されることもありますが、長期間残っていることも多く、皮膚科での処置が可能です。滅菌された針や器具を使って、内容物を圧出させる処置を行います。顔面以外では、水疱症や熱傷などが治った後にみられることがあります。
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