ニキビ治療
ニキビ治療

ニキビは、脂腺性毛包(毛穴から続くトンネルで、毛は短く脂腺がよく発達しているタイプ)の慢性炎症性疾患です。毛包内部に皮脂が貯まった状態の「面皰(めんぽう)」から始まって、それに続く炎症で丘疹や膿疱といった「炎症性皮疹(いわゆる赤ニキビ)」ができます。毛包の周囲にも炎症が及ぶと「瘢痕(ニキビあと)」を残すことがあります。
ニキビの発症にはたくさんの因子が関与しますが、主に
ことで生じます。
新生児にもみられますが、思春期に多く、成人になってからも悩む方は少なくありません。ニキビができる場所は主に顔や胸、背中など皮脂腺が多い部位です。
瘢痕が残ると治療に難渋することも多く、早めの適切な治療が大切です。
毛穴が皮脂や角質で詰まり、白い小さなブツブツができる。
白ニキビの毛穴の詰まりが空気に触れて酸化し、黒く見える。
アクネ菌の増殖により炎症が起こり赤く腫れる。
炎症が強く膿をもつ状態。
強い炎症で皮膚にしこりができ、跡が残りやすい。
ニキビ治療の基本は、まず塗り薬です。軽症〜重症のニキビに使用します。ニキビができた時だけでなく、継続して使いましょう。これらの成分の単剤、配合剤がございます。
皮膚に塗った後に分解されてフリーラジカルを生じ、①アクネ菌への抗菌作用と②毛穴の詰まりを改善する作用があり、「面皰」と「炎症性皮疹」に効果があります。使用開始2~3週間以内に赤みやかゆみ、皮むけが生じることもありますが、多くは使用を続けるうちに慣れていきます。使用前にしっかり保湿しておくことが大切です。漂白作用があるため、衣服や寝具などにつかないようにしましょう。冷蔵または冷所保存がおすすめです。
レチノイン酸受容体に結合して角質層を薄くさせることで毛穴のつまりを改善する作用があります。「面皰」を改善し、「炎症性皮疹」を予防します。使用開始2~3週間頃には赤みや皮むけが出ることがありますが、徐々に落ち着いていきます。使用前にしっかり保湿することが大切です。
抗菌作用と抗炎症作用があり、「炎症性皮疹」に効果があります。耐性菌の問題から、「面皰」中心の維持期には使用を控えます。
ほかの治療が実施できないときに検討されます。
外用薬で十分な効果が得られない場合や、中等度以上のニキビに対しては内服薬を併用します。
抗菌作用や抗炎症作用を期待して「炎症性皮疹」に対して用いられます。耐性菌の問題から、「面皰」中心の維持期には使用を控えます。
ほかの治療が無効または実施できないときに検討されます。
日本ではまだ承認されていない薬ですが、海外では以前から重症のニキビに対して使用され、高い効果が認められている内服薬です。①皮脂腺を小さくして皮脂の分泌を減らすと同時に、②滞った角質のターンオーバーを早めるため、③毛穴詰まりを改善し、④アクネ菌を抑えて炎症を落ち着かせます。顔のニキビだけでなく、胸や背中のニキビにも効果があります。
治療期間は通常4〜6ヶ月で、それ以上続ける場合には休薬期間が必要になります。
副作用は、皮膚や唇の乾燥、目や鼻の粘膜の乾燥、肝機能障害、腎機能障害、脂質異常、胎児への催奇形性などがあり、定期的な血液検査を行いながら厳格な管理体制のもとで処方されます。
内服中に妊娠した場合、先天異常や流産、早産、死産の危険性が高い薬剤です。妊娠、授乳中の方は内服できません。女性の場合は内服前1か月・内服中・内服終了後6か月は避妊してください。特に内服中は予期せぬ妊娠を避けるため、2つ以上の避妊方法の併用と定期的な妊娠検査をお勧めします。男性は念のため、内服前1か月・内服中・内服終了後1か月は避妊しましょう。
また成長期の方は身長に影響する可能性が否定できないため、身長がのびている間は内服を控えましょう。
ピーリング(ケミカルピーリング)は、肌表面にグリコール酸やサリチル酸などの薬剤を塗布し、古い角質を除去する治療法です。毛穴の詰まりを解消し、ターンオーバーを促進することで、ニキビやニキビ痕を改善します。施術後は肌が敏感になるため、十分な保湿と紫外線対策が非常に重要です。継続して行うことで、ニキビのできにくい肌を目指します。
ニキビの原因であるアクネ菌を抑える波長、②赤いニキビ痕や皮脂腺の血管に作用する波長を含むニキビ専用のフィルターを用いた治療です。内服薬や外用薬との併用で治療効果が高まります。痛みやダウンタイムは少なく、気軽に受けていただける治療になっています。
ニキビ治療の効果を最大限にするため、日常生活の見直しも重要です。
1日2回を目安に、刺激の少ない洗顔料で優しく洗うことが大切です。強くこすったり、洗いすぎることは逆効果になります。
食事は偏らずにバランス良く、野菜や果物も積極的に摂り、規則正しい食生活を心がけましょう。
睡眠不足やストレスはホルモンバランスを乱し、ニキビを悪化させることがあります。リラックスできる時間を作り、質の良い睡眠を確保しましょう。
ノンコメドジェニック(毛穴を塞ぎにくい)と表示された化粧品を使用し、保湿はしっかり行いましょう。
軽いニキビは放置しても治ることがありますが、炎症が強くなると跡が残りやすいため早めの治療がおすすめです。
ピーリングの強さによりますが、軽いヒリヒリ感や赤みを感じる程度です。当院ではより刺激の少ないララドクターも受けていただけます。どちらの場合も施術後の十分な保湿が大切です。
イソトレチノインは欧米では長い治療実績のある、重症ニキビに非常に効果の高いお薬です。副作用や注意点について十分な理解をいただき、定期的な血液検査を行いながら治療します。
ニキビダニ(毛包虫)は、ニキビにない方の顔にも少数存在するダニです。ステロイドの塗り薬の不適切な使用、免疫力の低下、肌の不衛生などが原因で増えることがあり、ニキビの原因になることがあります。ニキビダニが増えているかどうかは、皮膚科での顕微鏡検査で調べることができます。
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